2014年11月
感染症の感染経路---空気感染
感染症の主な感染経路には、接触感染、経口感染、飛沫感染、空気感染があります。
前回掲載した飛沫感染と似たような感染経路を辿るのは、空気感染です。
飛沫感染との基準の違いは、飛沫の大きさが5μm以下になります。
5μm以下の飛沫は水分が蒸発し、軽いので長時間空中を漂います。病原性微生物は感染症を保った
まま漂うため、それを吸い込むことで感染します。
空気が低温で乾燥していると、より長く感染症を持ち続けるようです。
飛沫感染の場合は、感染者から2mも離れていれば感染の可能性は低くなりますが、空気感染に距離
は関係ないということです。
オフィスや電車やバスなどの交通機関、スーパーなどある程度の閉鎖された空間であれば、感染の可
能性が高くなります。
屋外については、どんな病原体であっても空気感染をする確率はほぼないようです。
空気感染による病気は、結核や麻しん(はしか)、水ぼうそうが代表的なものです。
空気感染対策として、感染者がマスクをすることである程度防ぐことができるそうです。
また、密閉された空間では、空調や換気、温湿度の管理が重要です。
イラストレーターわたなべふみ
予防には、手洗い・マスク 電話には電話消毒です
感染症の感染経路---飛沫感染
感染症の主な感染経路には、接触感染、経口感染、飛沫感染、空気感染があります。
これからの季節に流行り始める風邪やインフルエンザの感染は、主に飛沫感染によると考えられて
います。
飛沫感染は、感染している人がくしゃみや咳、会話などで放出された病原性微生物がたくさん含ま
れた小さな水滴(飛沫)を吸い込み、感受性のある人の口腔粘膜や鼻粘膜等に付着することで感染
します。
放出される病原性微生物の数は、1回のくしゃみで約200万個、咳で約10万個といわれています。
飛沫感染による病気は、呼吸器感染によることがほとんどであり、風邪やインフルエンザ、風しん、
マイコプラズマ肺炎、おたふくかぜなど代表的な感染症です。
他には、SARS、百日咳、手足口病など多くの感染症の感染経路であります。
最近関東で感染拡大が指摘されている“RSウイルス”の感染経路も飛沫感染によるものが多いよう
です。
ただし、これらのほとんどが接触感染でも感染の可能性があります。
飛沫感染の基準は、咳などで放出された5μm以上の飛沫が、1m前後の範囲に飛び散り、他の人
に感染を及ぼすこといいます。ですので、2mも離れていれば感染しないということになりますが、
普段の生活においては、現実的に難しいと思われます。
飛沫感染対策として、一番効果的な予防はマスクです。感染している患者だけでなく、周りの人も
マスクをすることはとても有効です。
予防には、手洗い・マスク 電話には電話消毒です
エボラにみる感染経路
今世界が脅威を感じているエボラ。
エボラ出血熱とは、エボラウイルスによる急性熱性疾患です。
病原菌よりも微細で、ナノメートル単位の大きさのエボラウイルスが、人間の脅威となっているのは、
さながら映画の世界です。
このエボラウイルスの感染経路は、主に接触感染ということです。
FORTHの情報によると、エボラウイルスに感染した動物や感染した人の体液(血液、唾液、分泌物、
おう吐物、排泄物)や、体液等に汚染された物質(シーツ、衣類、医療器具、患者が使用した生活用品
など)に、傷口や粘膜が接触するとウイルスが侵入し、感染するようです。
この接触感染には、直接接触と間接接触があります。
直接接触は、握手や抱擁など直接触れることをいいます。
間接接触は、例えばドアノブや手すり、電話機やパソコンなど物体の表面を介して間接的に感染する
ことをいいます。
接触感染による代表的な感染症には、黄色ブドウ球菌、ノロウイルス(経口感染もあり)、咽頭結膜熱
(プール熱)、ヘルパンギーナなどがあります。O-157やインフルエンザの感染経路にもなり得ます。
ウイルスによっては、物体の表面上に数日間に渡り生き残る非常に強いものがあり、咽頭結膜熱の原因
ウイルスであるアデノウイルスはこれに当たります。
周囲に付着したエボラウイルスも、一定の間は感染力を保持しているようです。
ものに付着した風邪のウイルスでも2時間以上は感染性を保ちます。
くしゃみや咳、鼻水などで感染者の手には、自然にウイルスが付着しますので、その人が触れたものにも
当然ウイルスが付着することになります。そのウイルスが付着したものを別の人が触れることによって、口
や鼻から体内に取り込んでしまうわけです。
オフィスでは、非常に可能性が高くなることです。
ちなみにエボラウイルスは、感染した動物を食べたりすることによって経口感染したり、直接飛沫を浴びる
ことによる飛沫感染の可能性もあるそうです。ただし、空気感染だけは起こっていません。