感染症の感染経路---接触感染
感染症の主な感染経路には、接触感染、経口感染、飛沫感染、空気感染があります。
その中でも接触感染は、医療関連感染でも最も頻度が高く、重要な感染経路の一つです。
接触感染は、文字通り接触して感染するものです。
握手や抱擁など皮膚や粘膜の直接的な接触により感染する場合は、「直接接触感染」となります。
ドアノブやボタン、スイッチ、手すり、便座等を触ったことにより、その表面を介して病原体が付着する
ことで感染した場合は、「間接接触感染」となります。
いずれの場合も、病原体に汚染された手指・物体・食品に触れたり、病原体を含んだ排泄分・
おう吐物・血液・分泌物に触れたことにより、主に口から体内に侵入します。
接触感染の可能性のある病原体は、黄色ブドウ球菌、ロタウイルス、ノロウイルス、腸管出血性大腸
菌(O-157)、多剤耐性緑膿菌、インフルエンザウイルス等です。
エボラウイルスも主に接触感染で広がるとされています。
以前の記事で紹介させて頂きました、米アリゾナ大学の研究チームの報告では、オフィスに病原体
に感染した人が一人いるだけで、オフィスで一般的に触れるものの半分以上が、午前中で病原体に
汚染されるとしています。
人工的に作り出した風邪やインフルエンザ、胃腸炎のウィルスで実験を行った結果、4時間で、一般
的に触れるオフィス内の表面部分だけでなく従業員の手にも、その50%以上が、少なくとも一つの
ウィルスに感染していたことが判りました。
中でも多く付着していたのは、電話機、デスクトップ、ドアノブ、コピー機やエレベーターのボタン
などだったようです。
もともと生存時間が長いとされている胃腸炎のウィルスは、オフィス内で広がり続けて
いたことも判明しています。
この実験結果においても、接触感染は最も頻度が高くなることが判ります。
これからの季節には、風邪やインフルエンザだけでなく、感染症胃腸炎が流行します。
原因となるのはウイルスなどの微生物で、ノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルス等が中心です。
すでに10月以降にノロウイルスが原因とみられる感染症胃腸炎の集団発生が続発していますので
気をつけましょう。
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