結核などの再興感染症
予防接種や抗生物質などによって、過去に一度制圧された病原菌によって起こる感染症が、
病原菌の治療薬に対する抵抗性の変化や環境の変化によって、勢力を盛り返すことがあります。
これを、「再興感染症」といいます。
世界保健機関(WHO)では、「再興感染症とは、既知の感染症で、既に公衆衛生上の問題
とならない程度までに患者が減少していた感染症のうち、近年再び流行し始め、患者数が
増加したもの」と定義されています。
再興感染症の中で代表的なのは、「結核」です。
結核は、昭和の始めの頃に「労咳」などと呼ばれ、伝染性の不治の病として恐れられていま
した。その後、抗生物質のなどが開発され、患者数は年々減少していましたが、平成9年頃
から再び増加傾向になっており、薬が効きにくい「多剤耐性結核」が出現し問題となってい
ます。
昨年代々木公園で問題となり、最近対策が始まっているデング熱やマラリヤも、過去に一度
克服された病原菌による感染症です。
その他にも、伝染性が強く死亡率の高いコレラやペスト、髄膜炎菌性髄膜炎などがあります。
日本では、ペストは大正15年以降流行しておらず、近年においても発生していないようです。
コレラについては、平成7年に海外旅行帰国者に多発し300人超のコレラ患者が発生した
以外は、年に100人未満で推移しています。
人類がこれまで完全に封じ込めて根絶した感染症は、「天然痘」が唯一で、それ以外の感染症
については、直接的に効果のあるワクチンは開発されておらず、完全な治療法は確立されてい
ません。
そのため、またいつ新たな再興感染症が発生するか分かりません。従来の治療薬の効き目が
ない多剤耐性の病原菌が現れる可能性もあります。
そういった病原菌に負けないために、免疫力のある体作りを心掛けましょう。
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