密封食品でも食中毒に注意を
細菌にはいろいろなタイプがあり、酸素がない状態でも繁殖するタイプがあります。
酸素のない状態で生息、もしくは酸素があると発育できない細菌を「偏性嫌気性菌」といい
ます。酸素があると増殖が増す「通性嫌気性菌」と呼ばれるものもいます。
偏性嫌気性菌の代表的なものは、ボツリヌス菌、破傷風菌、炭疽菌などです。
その中でも、ボツリヌス菌は増殖する過程で猛毒の毒素を作り出し、命にかかわる食中毒の
原因になることがあります。この毒素は、最強の自然毒素といわれているようです。
ボツリヌス菌は、土壌や水中に広く生息していて、海や湖の泥に中にもおり、常に食品を
汚染する危険性があります。
酸素のない状態でも生息できるため、缶詰や瓶詰め、真空パックなどの密封食品でも、食品
加工中の殺菌が不十分だと、食品中に細菌が繁殖し、食中毒の原因となってしまいます。
また、まわりの環境が悪くなると、芽胞と呼ばれる堅い殻みたいなものを形成するため、熱
や消毒薬に強い抵抗力を持ち、長時間煮沸しても死滅しないこともあります。
ただし、ボツリヌス菌の毒素は、加熱により毒性を失います。
ボツリヌス菌による大きな被害で問題となったのは、1984年に熊本県で製造された真空
パックの「辛子レンコン」による食中毒です。このときは、36人が感染し11人が命を失
いました。
近年では、2012年に岩手県で製造された「あずきばっとう」を食べた鳥取県の方がボツ
リヌス症を発症しています。
食中毒の中でもボツリヌス菌によるものは非常に危険です。
厚生労働省から、「真空パックなどで、膨張、異臭のある場合は、菌が繁殖している可能性
があります。絶対食べないようにしましょう」と注意喚起がなされています。
真空パックなどの密封食品でも常温で放置することはやめましょう。
「要冷蔵」「10℃以下で保存してください」などの注意書きがある場合は、適切な保存
に注意しましょう。
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