新興感染症の感染拡大
韓国で感染拡大が懸念されている中東呼吸器症候群(MERS=マーズ)は、ウイルス性の
感染症です。
2012年に英国が、中東に渡航暦のある重症肺炎患者から発見したことを世界保健機構(WHO)
に報告し、知られることとなりました。同年にサウジアラビアで最初に確認されています。
原因となるウイルスは新種のコロナウイルスで、一般的な風邪や2002年から03年に中国
や香港においてまん延したSARS(重症急性呼吸器症候群)と同じウイルス類です。
SARSでは、数千人の感染が拡大し、750人以上が命を落としました。
MERSは、WHOによると、現在までに世界で累計1,161人が感染し、少なくとも436人
が死亡したとしています。
SARSは感染力が強かったため急激に拡大しましたが、MERSは感染力が弱く、人から人
への感染は限定的といわれています。しかし、致死率は非常に高い状況のため危険なウイルス
に変わりありません。
感染経路は、飛沫感染か接触感染かはっきりしたことは判明していないようです。
MERSに感染すると、2~15日の潜伏期があり、その後急性の重症な呼吸器症状を発症し
ます。発熱、せき、息切れや呼吸困難を伴い、ほとんどの患者が肺炎を起こすということです。
また、多くの患者が下痢などの消化器症状も伴うようです。
但し、初期症状が他の呼吸器感染症と似ているため、早い時期にMERSと診断することは
難しいとされています。
2012年には、サウジアラビアを中心に中東で感染が拡大、患者数が急増しました。
アメリカや東南アジアでも中東に渡航暦のある人が感染していましたが、感染は限定的でした。
今回韓国では、感染が5月20日に確認されてから、感染者数は25人に拡大し、2人が死亡
しています。最初の感染者が病院を転々とする間に感染が広がっており、拡大要因は院内感染
といわれております。
現在、日本での確認はされておりませんが、厚生労働省は、注意喚起し警戒しています。
MERSに対する特別な治療薬やワクチンは無いため、感染拡大を防ぐためには、予防
が非常に大切になります。
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