また楽しみが一つなくなる
厚生労働省は、飲食店などで、レバーなどの内臓を含む豚肉の生での提供を禁止しました。
動物から人に感染するE型肝炎にかかる可能性のリスクが高いためです。
3年前には、生の牛レバーを食べたことが原因で集団食中毒が発生したことを受けて、
牛レバーの生での提供が禁止されています。こちらは、腸管出血性大腸菌(O-111)
が原因によるものでした。
肝炎は、肝臓に炎症が起こり、肝細胞が破壊される病気です。お酒の飲みすぎが原因のこと
もありますが、ウイルスが原因による肝炎が圧倒的に多くなっています。
肝炎ウイルスには、A型、B型、C型、D型、E型があり、今回その中のE型肝炎ウイルス
が問題となりました。
A型とE型は、感染経路が似ており、主に飲料水や食物を介して感染します。
経口感染でウイルスがいったん体内に入ると、胃の中の酸に負けず腸まで届き、そこから
血液の中に侵入して肝臓に到達し、肝細胞に感染。肝臓の中で増殖して、肝炎を引き起こ
します。
A型肝炎ウイルスは、日本国内の衛生環境が良くなったので、感染者は激減していますが、
衛生状態の悪い国への渡航により感染してしまうことがあります。
E型肝炎ウイルスは、近年国内で増加しており、豚やイノシシ、シカなどの生肉を食べて
感染していることがわかってきたため、今回は豚の生肉だけですが、提供禁止になってし
まいました。
A型は、一度感染すると抗体ができ、再び感染することはありません。またワクチンが
開発されているため、予防が可能です。
しかし、E型は感染しても抗体が短時間で消滅してしまうため、再感染の恐れがあり、
ワクチンも開発されていません。
また、A型より感染率は低いのですが、いったん感染するとA型よりずっと重症化します。
急性肝炎が悪化して劇症肝炎になる確率も、A型は0.1%ですが、E型は1.0%と高く
なります。
A型もE型も十分に焼くあるいは煮ることで肝炎ウイルスは死滅し、感染の危険性はなく
なります。
しかし、生レバーが食べられなくなったことは、非常に残念でなりません。
また一つ、食の楽しみがなくなりました。
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