あいまいな基準
先日、アメリカの国立心肺血液研究所が、最高血圧の基準値を120以下にするべきとの研究
報告を発表しました。
この研究は2010年から13年に、約9千人の50歳以上で血圧が高い人を対象に行われ、
血圧を120以下に抑える治療をしたグループと、140以下に抑える治療をしたグループに
分け、その後の経過を比較しました。
その結果、120以下に抑えたグループの方が、心臓麻痺や心不全などの割合が3分の1に減り、
死亡リスクは約25%少なかったということでした。
そのため、心臓病のリスクを減らすには、最高血圧の基準を120以下にと提言しています。
日本では、昨年4月に、日本人間ドック学会と健康保険組合連合会が、高血圧の判定基準を最大
が147以下に、最小が94以下にするとして話題になりました。
しかし、この基準値の見直しに対して、高血圧学会が反論。高血圧学会の高血圧治療ガイドライン
は、最大130未満、最小85未満としているためです。
この混乱は日本医師会と日本医学会も巻き込み、基準値の捉え方の違いから異なった値になった
と、判然としない結論となっているように思われます。
前述のアメリカでの研究では、あくまでも高血圧の治療を受けている人を対象としているもので
あり、日本で基準となっている値は年齢に関係なく一律に定められたものであり、疑問が残る基準
に感じられます。
日本の百寿者は、今年6万人を超えました。東京都内には302人の百寿者の方がおられるそう
ですが、その中の約6割の方が高血圧を患っていたということです。
加齢とともに血管が硬く、細くなっていくため、年齢に応じて血圧も適度に高い方が、血液の巡り
が良くなるのでよいという話もあります。
クスリを売りたい製薬会社、医師。医療費を抑えたい健康保険組合、国。それぞれの思惑が絡んで
いるように思われ、高血圧だけでなく、コレステロールなどに関しても、正しい基準値の判別が
つきにくい状況であります。
確実なことは、暴飲暴食を避け、バランスのよい食事を取り、適度な運動を習慣にして、健康な
体を保つことが一番ということですね。
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