慢性的な呼吸器疾患のある小児は特に注意を
今年の8月以降に、発熱などに伴い弛緩性麻痺を発症する子供が、約20の都道府県から報告
されているということです。
はっきりした原因は分かっておりませんが、一部の患者から「エンテロウイルスD68」が検出
されており、関連が疑われています。
国立感染症研究所の情報によると、
東京都でも今年9月に、東京都立小児総合医療センターへ気管支喘息様症状による呼吸器障害
で入院する患者が著しく増加し、その中で4名からエンテロウイルスD68が検出されました。
昨年米国では、これまでにない規模のエンテロウイルスD68感染による重症呼吸器症が流行
しました。
2014年8月にミズーリ州とイリノイ州で流行し始め、2015年1月までに全米から
1,100超の患者の報告がありましたが、実際は軽症で済んだ人も考慮すれば数百万人に広が
った可能性があるといわれています。
また報告のあった患者の大半が小児であり、多く子が喘息をもっていたようです。その中で、
9名の弛緩性麻痺を発症した小児患者がいました。
しかし現在のところ、エンテロウイルスD68感染と麻痺症状の因果関係は明らかになって
いないようです。
前述のように、エンテロウイルスD68感染で発症する多くは小児でありますが、小児でも
成人でもほとんどの人は通常の風邪症状で済み、その後回復するようです。
注意しなくてはならないのは、アレルギーや喘息などの慢性的な呼吸器疾患のある子供だと
いうことです。
米国においては、喘息の既往がある小児が、重度の呼吸器症状を呈する可能性があるとされて
います。
現在、エンテロウイルスD68感染に対する治療薬はないため、症状に応じた対症療法しか
ありません。
また、ワクチンもありませんので、他の呼吸器系疾患と同様に、うがいやマスクによる飛沫
感染予防と、手洗いなどによる接触感染予防をしっかり行うことが大切です。
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