新たな感染症の大半がズーノーシス
人獣共通感染症(ズーノーシス)と聞いても、あまり馴染みのない感染症に思われますが、世界で200
種類以上あるとされます。
近年のエボラ出血熱や腸管出血性大腸菌O-157感染症、SARS、BSEなどもズーノーシスの一種で、
新たに発見される感染症の大半をズーノシスが占めるといいます。
その中でも身近な存在として、ペットの犬や猫から感染するズーノーシスがあります。
前回の「狂犬病」が代表的で、新しいものでは、ペットの“かみつき”や“引っかき”によって感染する
「カプノサイトファーガ感染症」、「猫ひっかき病」、「パスツレラ症」、病原菌の吸入によって感染する
「Q熱」などがあります。
カプトサイトファーガ感染症は、カプノサイトファーガ・カニモルサスという細菌を原因とする感染症で、
犬や猫の口腔内に常在し、咬まれたり引っかかれたりして感染します。
免疫力が低下している人が重症化しやすく、重症化した場合、その症状によっては約30%の致死率と
なっています。
猫ひっかき病は、バルトネラ・ヘンセレという細菌によって引き起こされます。病名どおり猫にひっかかれて
感染し、10日後頃にリンパ節炎を発症します。
日本の猫では、10%前後が菌を保有しているといわれます。
パスツレラ症は、パスツレラ菌による感染症で、この菌も犬や猫の口腔内に常在しています。保有率は
非常に高いといわれています。
発症すると、呼吸器疾患や皮膚疾患の症状が表れます。
Q熱は、コクシエラバーネティーという小桿菌による感染症です。
1935年にオーストラリアでこの感染症が流行した際、当時は原因不明の熱性疾患だったことから、
不明熱(Query Fever)として、Q熱となりました。
感染源は主に家畜やペットで、自然界では多くの動物やダニまでも保菌しており、非常に身近に存在
します。
Q熱を発症すると、気管支炎や肺炎などの呼吸器疾患を患います。その他、発熱や頭痛、関節痛など
インフルエンザのような症状が表れます。
これらの他にも、寄生虫が人の体内に侵入して感染する感染症もあります。
動物と共生する上で、必要以上に不安を感じる必要はありませんが、正しい情報を知り、適切に対処
することは必要です。
トラックバック(0)
トラックバックURL: http://www.cleall.com/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/112