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2016年3月

 不活化ワクチン

  今年度のインフルエンザの流行は微減傾向にありますが、過去5年間の同時期と比較して、定点
  当たりの報告数はかなり多い状況が続いています。

  この報告数の中には、予防対策としてインフルエンザの予防接種を受けた人も、少なからず含まれ
  ています。予防接種を受けたとしても症状が軽くなるだけで、感染してしまうことがあるからです。


  感染症の予防接種に使用する薬液がワクチンです。ワクチンには、「生ワクチン」、「不活化ワクチン」、
  「トキソイド」の3種類のタイプがあり、インフルエンザのワクチンは、不活化ワクチンのタイプです。


  不活化ワクチンは、病原性(毒性)を取り除いたウイルスや細菌の一部で作ったものです。
  ウイルスや細菌の体の一部なので、自力で増殖することができないため、1回の接種だけでは十分
  な免疫ができず、数回の接種が必要となります。


  現在のインフルエンザのワクチンは、血液に入り込んで全身に広がろうとするウイルスに対して抑え
  る力があるといわれ、それによって重症化を防ぐことができるとされています。

  ただし、感染初期ののどでの増殖を抑えることができません。そのため、咳や熱の症状を引き起こし
  てしまいます。

  完全に発症を防ぐことはできないという点で、他の多くのワクチンとは違っているところです。


  不活化ワクチンには、日本脳炎、DTP-IPV四種混合(ジフテリア・百日せき・破傷風・不活化ポリオ)、
  DTP三種混合(ジフテリア・百日せき・破傷風)、DT二種混合(ジフテリア・破傷風)、A型肝炎、
  B型肝炎、肺炎球菌などがあります。


  ワクチンはどれも免疫力をつけるために接種するものですが、不活化ワクチンは年月とともに免疫力
  が弱まってしまいますので、ワクチンの性質に応じて追加の接種が必要となります。

 

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 ペットボトルを栄養にする細菌

  現代は飲料といえばペットボトルと言われるぐらい、ものすごい数のペットボトルが消費されています。

  そのペットボトルの素材となる「ポリエチレンテレフタレート(PET)」は、石油を原料に製造され、
  ペットボトルの他にも衣類などに活用されています。

  今や、PET樹脂の世界年間生産量は、2013年には5,600万トンにまで増え、そのうち容器包装用
  に1,540万トン、フィルム用に320万トン、繊維等に3,800万トンが使用されているようです。


  これだけ製造されているPET製品ですが、リサイクルされているのはペットボトルのみで、多くは
  廃棄されています。

  従来では、この廃棄されるPET製品は、自然界での生物によって分解はされないと考えられてきま
  した。


  しかし、この定説を覆す研究結果が発表されました。


  京都工藝繊維大学や慶応大学、民間会社の共同研究グループが、PETを分解して栄養源とし増殖
  する細菌を発見したと発表しました。

  この細菌が持つ2種類の酵素によってPETが分解され、最終的に炭酸ガスと水になることが分かった
  ということです。


  今までの化学的に分解するケミカルリサイクルでは非常に効率が悪く、相当のエネルギーを消費して
  いましたが、細菌による分解が確立されれば、PETのリサイクル状況が一変するということです。


  細菌やウイルスなどの微生物の世界は、非常に奥が深いと実感します。

 

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 結核11人に集団感染

  先日、茨城県の病院で結核の集団感染が発生しました。

  茨城県立中央病院に入院していた80代の女性が結核を発病し、この患者に接触した患者の家族と
  看護師ら11人にも感染、そのうち5人が発病しました。

  発病した5人は、患者の家族である50代の男性と20~40代の女性看護師4人でした。最初に結核
  を発病した80代の女性は、間質性肺炎で亡くなっています。

  感染ルートは分かっていませんが、亡くなった80代の女性がもともと保菌していたのかもしれません。

 

  結核は昔の病気と考えられがちですが、現在でも感染例はけっこうあります。

  国立感染症研究所のデータによると、2月15日の週だけでも全国で317件の感染報告があり、2016年
  の累計では2,708件の感染報告があります。

  また世界に目を向けると、2013年には900万人が結核に罹患し、150万人もの人が亡くなってい
  ます。
  結核は単一の感染症としては、HIV/AIDSに続き、世界で2番目に死亡者数が多い疾患となってい
  ます。

 

  結核は、「結核菌」という細菌が原因となって起こり、保菌者のシブキなどに含まれる結核菌を吸い
  込むことによって感染します。

  ただし、感染しても結核に対する免疫力が出来上がり、結核菌が抑え込まれるため、必ず発病する
  わけではありません。
  しかし、結核菌が居なくなったわけではなく、肺の中で休眠状態になっていて、保菌はしています。

  免疫力があるうちはこの状態が続きますが、体が弱るのを虎視眈々と狙っていて、免疫力が下がる
  ようなことがあると、結核菌が暴れ出し発病に至ります。


  発病すると結核は非常に怖い病気で、多くの場合、肺を侵します。侵すというのは、組織を殺して
  どろどろに溶かす腐った状態にしていきます。

  また肺だけではなく、リンパや血液の流れに乗って全身に菌が拡がり、あらゆる臓器を侵していき
  ます。
  肺以外に最も侵されることが多いのがリンパ節で、他にも多いのが骨や関節、腎臓です。
  さらに、脳にまで菌が達することがあり、結核性髄膜炎を引き起こします。

 

  結核に限らず感染症は、感染拡大をさせないことが大切です。
  そのためにも、早期発見・早期治療が重要で、かからないためにも、できる予防はしっかり行いま
  しょう。


  電話しょうどくは、結核が国民病と呼ばれた時代に、結核の感染拡大を防ぐ目的で、予防薬として
  注目されました。

  今では結核菌に限らず、他の感染症の原因となる細菌やウイルスにも効果があることが分かって
  います。
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 オリンピック病が流行する可能性

  国立感染研究所の発表の直近(2月8日から14日)データでは、感染報告数は多くありませんが、
  最近マイコプラズマ肺炎が流行っていると耳にします。


  マイコプラズマ肺炎は、通常の肺炎とは違う組織で炎症を起こすため、聴診器を聞いただけでは
  分かりづらく、咳や発熱はしますが、あまり重症化しないため見逃されているかもしれません。


  この疾患は、4年周期にオリンピックが開催される年に流行が繰り返されてきたため、「オリンピック病」
  と呼ばれていますが、現在はこの周期はなくなりつつあります。
  近年では、1984年と1988年に大流行しました。


  マイコプラズマとは微生物の名前で、厳密には細菌ともウイルスとも違います。
  ウイルスとは違い自己増殖でき、細菌とは違い細胞壁を持ちません。細胞壁を持たないため、
  ペニシリンなどの抗生物質はまったく効果がでません。

  また、潜伏期間が通常2~3週間と長いため、適切な判断、処置を行わなければ感染が拡大して
  しまいます。


  罹患年齢が幼児期、学童期、青年期を中心に多いため、集団生活をしている環境で拡がりやすく、
  小中学校での流行が多くなりがちです。
  感染しても肺炎まで至りやすいのは学童期と青年期で、幼児期は風邪症状くらいで済むことが
  多くなっています。


  感染経路は、咳やくしゃみでうつる飛沫感染です。唾液にもマイコプラズマが含まれるため、
  接触感染の可能性も十分にあり得ます。

  1度かかっても免疫力は長く続かないため、何度も感染しますので、予防が大切です。


  一般的な予防法である、うがい・手洗いなどをしっかり行いましょう。

  電話消毒薬は、マイコプラズにも効果が認められています。
  
オフィスでの感染予防に電話しょうどくも取り入れてください。

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