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 がん細胞をウイルスで退治

  ウイルスは人間の進化に重要な役割を果たしてきたことが分かっておりますが、また、人間はウイ
  ルスの力を借りることになるかもしれません。

  現在でも、ウイルスを利用してワクチンを製造したり、細菌から抗生物質を製造し、病気に対して
  役に立ってもらっていますが、今度はがん治療に役にたってもらおうと研究が進められています。

 

  「がんのウイルス療法」として、東京大学医科学研究所が研究、開発を進め、このほど医師主導の
  治験を開始すると発表しました。

  開発を進めてきたのは、がん細胞だけに感染し、がん細胞を殺す特別なウイルスで、口にできもの
  を作るヘルペスウイルスの遺伝子を変化させたものだということです。

 

  また、岡山大学の研究チームも、がん細胞だけを破壊する特殊なウイルスを開発、食道がんの治療
  で腫瘍が消えるなどの効果があったことを発表しています。

  こちらは、風邪の原因となるアデノウイルスの遺伝子を操作して開発しています。

  がん細胞は、放射線などで傷ついた場合、自らのDNAを修復して復活する力を持っていますが、
  開発中のウイルスは、その修復機能を邪魔する働きもあり、放射線治療の効果を高めることも期待
  できるそうです。

  岡山大学は、年内にも、臨床試験の計画を提出したいとしています。


  どちらのウイルスも、正常な細胞に感染しても自然に消えて増殖しないため、副作用が起こりにくい
  ということです。


  ウイルスによる治療は、手術、抗がん剤、放射線に続く第4の治療法として注目が集まっています。

  すでにアメリカでは、昨年、口唇ヘルペスウイルスの遺伝子組み換えを行ったウイルスを使って、
  進行した皮膚がんを治療する方法が、アメリカ食品医薬品局に認可されています。


  日本でも実用化になる日が近いと思われます。


  人間にとって、ウイルスというと悪者扱いにされることが多いですが、現代においても、その存在
  は欠かすことのできないものかもしれません。
 

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