世界の結核死者が180万人に
世界保健機関(WHO)は、2016年版の「世界結核報告書」を公表しました。
報告書よると、2015年の世界の結核患者数は1,040万人で、2014年の結核患者数960万人
から急増しており、流行拡大が予想をはるかに上回っているということです。
そして、2015年の結核による死者数は、推定で約180万人にのぼり、前年より30万人増加して
います。
ここ数年、減少傾向だったため、関係各所は衝撃を受けています。
2015年の新たな結核罹患者数を国別で見ると、インドが284万人、インドネシアが102万人、
中国が92万人、ナイジェリアが59万人、パキスタンが51万人、南アフリカが46万人の順で多い
状況です。
この6カ国で新たな罹患者の60%を占めています。
さらに、既存の薬剤が効きにくい「多剤耐性結核」と診断された患者は約58万人に上っていて、その
約50%がインド、中国、ロシアに固まっているようです。
日本では、2015年の結核発病者が約1万8千人おり、1900人以上が死亡しています。
年々減少はしているものの、いまだ人口10万人当たり10人以上の患者がいる「低まん延国」の状況
です。
実際、今年に入って、あちらこちらで結核の集団感染が発生しています。
日本では「過去の病気」とみなされがちですが、世界に目を向けると、結核に関わる患者が増えている
という状況です。
世界の年間の新規患者の41%が治療を受けられていないとされていて、さらなる感染拡大につながっ
ているといわれています。
結核および結核対策に関する学術組織として設立された「国際結核肺疾患予防連合(International Union
Against Tuberculosis and Lung Disease)」があります。
肺の健康世界会議を毎年開催しており、結核や肺疾患などについて話し合われています。
2017年には、日本で40数年ぶりに、アジア太平洋地域の学術大会が開催されるようです。
結核に限らず、あらゆる感染症が世界中にまん延しやすい状況となっていますので、各国が協力し合い
対策をうっていくことは非常に重要になってきていると思われます。
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