旬の食材が作り出す抗菌剤
白子が旬の時期です。
魚の白子というのは、オスの魚の精巣のことで、メスにはありません。
主な食される白子は、フグの白子、サケの白子、たらの白子などがあります。
イカの白子もありますが、数が少ないため、あまり出回らず、高級料亭などでしか見かけないよう
です。
サケやニシン、マスなどの白子から抽出される物質で、「プロタミン」というものがあります。
プロタミンは抗菌性を有し、特にグラム陽性菌に対して強い抗菌作用があり、耐熱性に優れ、アル
カリ性域でも抗菌性を発揮できます。
このためか、熱やアルカリに強い、耐熱性の芽胞形成菌や毒性の強い黄色ブドウ球菌など、病原性
細菌に対して優れた抗菌性をもっています。
天然物由来の安全な食品保存料として、添加物で広く食品に利用されています。
今日では、米飯やメン類、クリームやカスタード等の洋生菓子類、和菓子類などに添加されています。
食品の原材料表示を見ると、“保存料(プロタミン)”、“保存料(しらこたん白)”と表示され使用
されているのが分かります。
近年では、プロタミン分解物を応用したものが、カンジタ菌に対する抗真菌活性の働きがあること
から、入れ歯の口腔カンジタ症状に利用されたり、歯周病原菌に対しても抗菌性が認められ、口腔
ケアに応用され始めています。
また、プロタミンは、脂肪吸収抑制効果があることも確認されており、メタボリックシンドローム
の予防に対する有効な素材と考えられています。
さらに、レアアースの採取にも活用できることがわかっており、抗菌剤だけでなく活躍の場が拡がっ
ています。
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