感染症の法律
1897年(明治30年)に制定された「伝染病予防法」が、日本の最初の感染症に対する法律で
す。
明治維新後、外国との接触が多くなったため、海外から疫病が流入する機会が増加しました。
その頃の日本は、衛生環境がまだ良くなかったこともあり、たびたび疫病の流行が起こりました。
その中の大流行したものがコレラで、患者数16万人、死亡者数は10万人を超えたそうです。
そのため、急いで予防体制を整えなくてはと、「伝染病予防規則」ができ、その後「伝染病予防法」
に変更され施行されました。
1899年頃には、死亡原因別死亡者数のデータが得られるようになると、結核による死亡者数が
多いことが分かりました。
結核死亡者数は10万人以上で推移し増加していたため、1919年に「結核予防法」が制定され
ました。
しかし、結核による死亡者数は毎年10万人以上で高止まりし、昭和に入ってはまた増加傾向になっ
ていました。
そのため、1937年に「結核予防法」の改正が行われ、結核患者の届出制が導入されました。
1940年に「国民体力法」が制定されていますが、体力検査が結核検診に重点を置いて進められ
るほど、結核は社会問題となっていました。
そして、伝染病予防法が制定されてから100年以上が経過し、当然社会環境が大きく変わり、国
の衛生環境、医学・医療の発展による感染症の対応、外国との交流、新たな感染症や再興感染症の
出現などに対応するため、伝染病予防法に替えて、
「感染症予防法(正式名称:感染症の予防および感染症の患者に対する医療に関する法律)」が
1999年(平成11年)に施行されました。
伝染病予防法では、発生した病気の拡散を防ぐために、どう対応するかを定めたものでした。
感染症予防法は、行政が事前に情報収集をして備えの対応を取ることや感染症指定医療機関の設置
が制度化され、患者の人権を尊重することが重要視されています。
また、各感染症の感染力の強さや感染した場合の重篤性に応じて1~5類に分類され、新たな感染
症用の新感染症や、指定感染症が定められています。
数年に1度、SARSや鳥インフルエンザなどの新しい感染症の対応や、機能強化のために改正が
行われている中で、2006年の改正では、結核を2類感染症に位置づけ、結核予防法が統合され
ています。
日本ではこういった施策が進み、近年深刻な感染症被害は発生しておりません。
しかし海外では、感染症対策の国際的な協力が進み、各国の連携が強化されてはいますが、まだまだ
国によっていろいろな感染症に苦慮しています。戦争やテロ、衛生面など人的な要因も大きく関係し
ています。ワクチンが届けば、助かる命もたくさんあるようです。
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