耐性菌アシネトバクターも予防が大切
鹿児島大病院で、2016年9月~今年4月に多剤耐性細菌のアシネトバクターが患者15人から
検出されていたことがわかったニュースがありました。
15人のうち8人が死亡しており、その中の4人が細菌による感染症を発症していたようです。
ただし、アシネトバクターが直接的な原因で死亡したかどうかははっきりしていません。
アシネトバクターは、普通にあちこちに生息している菌であり、土壌や水、健康な人の皮膚にも付
着しているようです。
体力や免疫力の問題のない人には無害ですが、細菌感染症に対する免疫力が弱まっている人は感染
する確率が高くなり、肺炎や敗血症などを引き起こすということです。
そのため、体力、免疫力の弱まっている病院の集中治療室の患者や重症患者への感染が多く、医療
機関の外での感染は滅多にないようです。
これまでの多剤耐性アシネトバクターの集団感染事例は、2008年に福岡大学病院で23名が感
染、その後愛知県の藤田保健衛生大学病院や帝京大学病院でも集団感染が発生しています。
問題は、アシネトバクター感染症に対して、抗生物質が効かない多剤耐性質が出現しており、その
場合治療が難しいという点です。
2009年にアメリカから千葉県の病院に転院してきた患者は、治療していても一向によくならな
いため調べたところ、既存の抗生物質に耐性のあるアシネトバクターであることが分かりました。
その頃、イラクやアフガニスタンへ派遣され、傷を負ったアメリカ軍などの兵士がアシネトバクター
に感染し、多剤耐性質のために治療しても回復せず多数の死者が出ています。致死率が75%にも
なったといわれています。
またアシネトバクターは、乾燥にも強く物質の表面でも数日間は生存可能で、黄色ブドウ球菌と同
等あるいはそれ以上の生存力があるとされています。
ある小児科集中治療室でも調査では、医療器具をはじめ、電話機受話器やキーボード、インターホ
ン、ドアノブなどあらゆる箇所でアシネトバクターが検出されたそうです。
治療薬がない多剤耐性菌には、やはり予防が重要になってきます。
予防の基本は、しっかり手洗いをすることです。
また使用する物品の衛生管理をしっかり行い、定期的に消毒することも大切です。
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