2014年12月
年末年始休業のお知らせ
いつも有難うございます。
誠に勝手ながら、2014年12月27日(土)から2015年1月4日(日)まで、年末年始休業とさせて
いただきます。
1月5日(月)から平常どおり営業致します。
ご不便をおかけしますが、何卒よろしくお願い申し上げます。
感染症の感染経路---経口感染
感染症の主な感染経路には、接触感染、経口感染、飛沫感染、空気感染があります。
この時季に流行するノロウイルスなどの感染症胃腸炎のほとんどが、「経口感染」によるとされて
います。
経口感染は、病原微生物によって汚染された水や食品を口に入れて感染したり、感染源となる人
の排便処理の後の手洗いの不備などで、食品が汚染されたり、物が汚染されたりして、その食品
や物から感染をすることもあります。そういった意味で、接触感染の中で扱われる場合もあります。
経口感染の可能性がある病原体は、ロタウイルス、ノロウイルス、腸管出血性大腸菌(O-157)、
赤痢菌、サルモネラ属菌などが代表的なものです。
ただし、ロタウイルスや、ノロウイルス、O-157などは、接触感染や飛沫感染でも感染します。
経口感染の予防は、まず「手洗い」です。
病原微生物は皮膚表面にくっついているだけですので、これを手洗いで落とすことで、
経口感染の 経路を断つことができます。
手洗いでは、病原性微生物の数をまったく無くすことはできませんが、量を減らすことで体内に入る
量を減らして、発症の可能性を抑えます。
家庭では経口感染が多くなりますので、外出から帰宅した際は必ず、またこまめに手洗いをしましょう。
RSウイルスも拡大
「RSウイルス」の感染が拡大しているようです。
RSウイルスは、呼吸器疾患の「RSウイルス感染症」を引き起こします。
RSというのは、呼吸器(respiratory tract)感染症患者から分離され、感染細胞が多核巨細胞
(合胞体syncytium)を形成することからです。
麻しんやおたふくかぜのウイルスと同じパラミクソウイルス科に属します。
麻しんやおたふくかぜと違い、一度感染しただけでは防御免疫が不十分で、何度も発症しますが、
通常発症を追うごとに症状は軽くなってきます。
厚生労働省の資料によると、
生涯にわたり何度も感染と発病を繰り返しますが、生後1歳までに半数以上が、2歳までにほぼ100%
の乳幼児がRSウイルスに少なくとも1度は感染するとされています。
但し乳幼児期においては非常に注意する必要があり、特に生後数週間から数カ月の間に初感染した
場合は、細気管支炎や肺炎といった重篤な症状を引き起こす場合があるようです。
乳幼児における肺炎の50%、細気管支炎の50~90%がRSウイルスによるものであるという報告も
あります。
感染経路は、感染している人の咳やくしゃみ、会話などで放出される小さな水滴(飛沫)を吸い
込み感染する飛沫感染や、感染している人との直接接触や、ウイルスが付着した手指やドア
ノブ、スイッチ類、電話機、OA機器から間接接触などの接触感染になります。
空気感染の報告はないようです。
特に家族内では感染しやすく、乳幼児とより年長の小児のいる家族では、流行期間中に感染することが
多いようです。
RSウイルスに感染すると、2~8日の潜伏期間を経て、発熱や鼻汁などの症状が数日続きますが、多く
は軽症で済みます。重症化すると、咳がひどくなったり、呼吸困難となるなどし、場合によっては、細気管
支炎や肺炎に重篤化します。
RSウイルスに対するワクチンは実用化に至っておらず、治療は対症療法になりますので、予防を重視
するしかありません。
予防には、手洗い、マスクが有効とされています。
感染症の感染経路---接触感染
感染症の主な感染経路には、接触感染、経口感染、飛沫感染、空気感染があります。
その中でも接触感染は、医療関連感染でも最も頻度が高く、重要な感染経路の一つです。
接触感染は、文字通り接触して感染するものです。
握手や抱擁など皮膚や粘膜の直接的な接触により感染する場合は、「直接接触感染」となります。
ドアノブやボタン、スイッチ、手すり、便座等を触ったことにより、その表面を介して病原体が付着する
ことで感染した場合は、「間接接触感染」となります。
いずれの場合も、病原体に汚染された手指・物体・食品に触れたり、病原体を含んだ排泄分・
おう吐物・血液・分泌物に触れたことにより、主に口から体内に侵入します。
接触感染の可能性のある病原体は、黄色ブドウ球菌、ロタウイルス、ノロウイルス、腸管出血性大腸
菌(O-157)、多剤耐性緑膿菌、インフルエンザウイルス等です。
エボラウイルスも主に接触感染で広がるとされています。
以前の記事で紹介させて頂きました、米アリゾナ大学の研究チームの報告では、オフィスに病原体
に感染した人が一人いるだけで、オフィスで一般的に触れるものの半分以上が、午前中で病原体に
汚染されるとしています。
人工的に作り出した風邪やインフルエンザ、胃腸炎のウィルスで実験を行った結果、4時間で、一般
的に触れるオフィス内の表面部分だけでなく従業員の手にも、その50%以上が、少なくとも一つの
ウィルスに感染していたことが判りました。
中でも多く付着していたのは、電話機、デスクトップ、ドアノブ、コピー機やエレベーターのボタン
などだったようです。
もともと生存時間が長いとされている胃腸炎のウィルスは、オフィス内で広がり続けて
いたことも判明しています。
この実験結果においても、接触感染は最も頻度が高くなることが判ります。
これからの季節には、風邪やインフルエンザだけでなく、感染症胃腸炎が流行します。
原因となるのはウイルスなどの微生物で、ノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルス等が中心です。
すでに10月以降にノロウイルスが原因とみられる感染症胃腸炎の集団発生が続発していますので
気をつけましょう。
劇症型溶血性レンサ球菌感染症
劇症型溶血性レンサ球菌感染症は、溶血性レンサ球菌が原因の疾患であります。
溶血性レンサ球菌は、A群、B群、C群などがありますが、劇症型溶血性レンサ球菌感染症は、主に
A群溶血性レンサ球菌により引き起こされるようです。
一般的にはA群溶血性レンサ球菌感染による疾患は咽頭炎であり、その多くは小児が発症しますが、
何らかで原因で菌が血液の中に入ったり、傷口から菌が深く侵入したりすると、劇症型に変わる場合
があるようです。
劇症型になると突発的に発症し、四肢の疼痛・腫脹・発熱・血圧低下などの初期症状の後、急激に
病状が進行し敗血症を起こし、手足の壊死や急性腎不全、多臓器不全などを併発します。
手足を壊死させてしまうことから、「人食いバクテリア」と言われたこともあるようです。
発症した人のうち約30%が死亡する、非常に致死率の高い感染症です。
A群溶血性レンサ球菌に感染した人の中で劇症型を発症する人は限られており、多くは30歳以上の
大人ですが、ほとんどは咽頭感染あるいは皮膚感染のみで、全く発症しない人もいるようです。
ただし国立感染症研究所のデータによると、近年は増加傾向にあり、全体数は少ないのですが、この
3年の間は200人を超える年が続いています。
患者の中心は60歳台で、比較的高齢者が多いようです。
がんや糖尿病のような基礎疾患を持つ方や、ステロイドなどの免疫を低下させる薬剤を使用している
方は発症する危険性が高いとされています。
感染経路は不明な場合が多く、感染から発症までの潜伏期間も明確ではありません。
予防のポイントとして、A型溶血性レンサ球菌感染症に罹患しないようにすることです。
うがい・手洗い、マスク等が有効とされています。
電話消毒薬の有効成分は、溶血性レンサ球菌にも殺菌効果があります。