2017年5月
人がコレラの拡大支援
内線が続くイエメンで、「コレラ」が流行し、多くの死者が出ているということです。
世界保健機関(WHO)の発表による、5月15日までに全土で184人の死亡が確認されており、
感染が疑われる患者は1万1,000人に上っていました。
さらに5月19日には、死者は200人を超え、感染疑いのある患者が2万3,500人となり、急
速に拡大している模様です。
イエメンは、長引く内戦の影響で、水道や下水処理などの施設が機能しておらず、衛生状態が非常
に悪化していることで、コレラの感染源となっているようです。
さらに、本来コレラは容易に治療できる疾患であるのに、内戦により多くの医療施設が機能を失っ
ており、支援医療物資はアフリカのジブチで足止めされている模様で、感染の拡大に拍車をかけて
いるようです。
コレラは、コレラ菌に汚染された水や食べ物を摂取することで感染します。
感染すると1~数日の潜伏期間を経て、急性の激しい下痢を引き起こします。
ただし、ほとんどの人は感染しても症状が軽いか無症状のようです。それでも、感染後一定期間は
便中にコレラ菌を含んでいるため、他の人に感染させてしまう可能性があります。
まれに重症化する人がおり、感染して1日以内に激しい水様下痢、脱水症状を起こします。
下痢を繰り返し嘔吐も伴い、症状が悪化していきます。適切な治療をしなければ、死に至ることも
あります。
コレラの発生は、公衆衛生の状態が深く関係しており、飲料水や衛生環境が整備されていない地域
では、毎年100万から400万人の患者が発生し、2万~14万人が死亡していると推測されて
います。
WHOに報告された2015年のコレラに患者数は、42カ国から合計172,454人で、そのう
ち死亡した人は1,304人ということでしたが、実際はもっと多いといわれており、貿易や旅行な
どに対する抑制を回避するために、記録をしないという実態があるようです。
日本は公衆衛生が良い国なので、日本人が感染するのは、もっぱら海外に渡航したときです。
コレラの感染リスクのある地域は、インド周辺のアジア地域、アフリカ、中南米の一部です。
これらの渡航先に行く際には、飲食物には十分に気をつけ、なるべく加熱処理されたものを摂取し
ましょう。
優れた抗菌作用をもつ雑草
暖かい日が続き、雑草がどんどん伸びる季節になりました。
(実は、雑草という名の草は無いそうで、すべての草に名前が付いているそうです)
その中には、土の中にどんどん根を張り巡らし、あちこちから顔を出すやっかいなドクダミが
あります。
じつは、このやっかいと思われた雑草は、優れた薬効を持ち、古くから民間治療薬として活躍
してきました。
効能が多岐にわたることから、「十薬」とも呼ばれます。
ドクダミの葉には独特の香りがあり、この香りのもととなっているのは、「デカノイルアセト
アルデヒト」という物質で、強い抗菌作用や抗カビ作用をもっています。
黄色ブドウ球菌や肺炎球菌、はくせん菌などの細菌や、ウイルスにも効果があるとされていま
す。
はくせん菌が原因である水虫の患部に、ドクダミの葉を擦り込むと、水虫菌(足はくせん)の
発育を阻止する効果があるとされています。
化膿性の傷やおできには、葉を患部に貼ることで、膿を吸い出し、腫れが引くそうです。
他にもミネラルやカリウムも多く含み、薬用効果の高いことが証明されています。
またドクダミ茶は、利尿作用や便通改善、高血圧の予防に良いとされています。
江戸時代に著された「大和本草」には、「十薬を馬に用いると、十種の薬の効き目があるゆえ、
十薬という」と書かれているそうです。
それだけ、昔から万能薬として活用されたのですね。
ドクダミというネーミングは、あの臭いのせいで毒が入っているのではないかということから
ついたそうで、せっかくの万能薬なのに、何だかかわいそうな気がします。