2018年2月
シソは彩りのためだけではありません
刺身の“つま”に欠かせないものの一つに“シソ”があります。
彩りのためだけでなく、殺菌・防腐作用があり、欠かせないのはこの為でもあります。
あの独特の香りは、ペリルアルデヒトという成分がもとになっており、この成分が強い抗菌・
防腐作用を発揮します。
ペリルアルデヒトは精油成分で、主として葉の裏面の腺鱗内に蓄積されています。それが気化
することで香りが立ちます。
他にもリモネン、ピネンなどの精油成分も含まれており、これらの精油はお菓子やタバコなど
の香料として利用されています。
シソは、縄文時代の遺跡から種実が出土されており、昔から栽培されてきた食品であることが
分かっています。そのはるか前に中国から日本に持ち込まれたようです。
紫蘇という漢字は、中国でカニを食べて食中毒になった少年にシソを与えたところ、元気を取
り戻したことから、“紫の葉で命を蘇らせた”ということが由来といわれています。
その逸話からも分かるとおり、シソには多くの効果効能があるとされています。
まずは、強い殺菌・抗菌作用から食中毒を予防するほか、ペリルアルデヒトが嗅覚を刺激する
ことで消化酵素の分泌を促進し、食欲を増進させる効果があるようです。
また、β-カロテンは野菜の中でもトップクラスに多く含まれ、ビタミンやミネラル類なども
豊富に含まれています。
このため、免疫力を高める効果、疲労回復、貧血予防、目や骨にも良い効果があります。
さらに種子にはα-リノレン酸やロズマリン酸があり、これらが花粉症やアトピー性皮膚炎など
のアレルギー症状を軽減する効果もあるとされています。
紫蘇は本来、字のとおり赤ジソのことを指します。青ジソはその変種だそうです。
青ジソの旬は5月から7月頃ですが、1年中出回っていますから、いつでも食べられますね。
上記の他にもたくさんの効能・効果があるとされていますので、刺身についている大根のツマと
一緒に食べておきましょう。
日の丸弁当は効果あり?
抗菌・殺菌作用を持つといわれる天然の食物は多数あります。
その中で梅干は菌を増やさない作用がある食材として昔からよく知られています。
梅干の中には、クエン酸やリンゴ酸、シュウ酸、酢酸などの有機酸が含まれており、この有機酸
が抗菌パワーのもととなります。
その中で胃液にも劣らない力があるといわれているクエン酸の含有量がもっとも多く、クエン酸
によって強い抗菌作用がもたらされているようです。
酢酸はO157に対して静菌作用が認められるほど高い抗菌作用を持ちますが、含有量が多くあ
りません。
ただし、クエン酸単独よりも、リンゴ酸や酢酸が混じった方が相乗効果を発揮し、より強い抗菌
作用を持つことが分かっています。
さらに梅干と同じように食塩を添加すると抗菌作用が増強したという実験データもあります。
これらのことから、白米の中心に梅干をのせた、いわゆる「日の丸弁当」は理にかなっていたの
かもしれません。
東京都衛生局では、そのことを確認するための面白い実験を行っています。
実験では、食中毒菌であるO157とサルモネラ菌を別々のシャーレに培養し、その上に梅干を
置いて変化を観察しています。
その結果、確かに両方の菌に対して抗菌性は認められていますが、梅干の周りだけでした。
ですので、日の丸弁当では少し不安が残ります。
実際、おにぎりやお弁当に梅干を使う際は、梅干を分けて混ぜ込んだ方が効果的かと思います。
ただし最近の梅干は減塩傾向のため塩分が少なく、それに伴って有機酸の含有量も少ないといわ
れています。腐らないはずの梅干自体を冷蔵庫で保存しないとダメなものが多く、保存料まで加
えられています。
昔のしょっぱい梅干でないと抗菌効果は期待できないかもしれません。
ちなみにコンビニエンスストアのお弁当やおにぎりは梅干が入っていないものが多いですが、か
なりの保存がききます。
相当な保存料が入っているためですが、この保存料はけっして身体に良いものではないという話
を聞きます。
手軽ですが、あまり取り過ぎないように気をつけた方が良いかもしれません。
食中毒を予防するためには、お弁当の中身を気に掛ける前に、まずはできるだけ病原菌やウイル
スを近づけないことが大切です。
病気予防の基本は、病原菌やウイルスを近づけない、増やさないように心がけることです。
それと、自己の免疫力を高めることが非常に重要です。